絶版車を維持するために

絶版車を維持するために必要な情報をメカニックがご説明します 
長く乗っていただくためにぜひ参考にしてください

三種の神器 ソレタコデュアル

ソレタコデュアルとは若い世代には聞き慣れない言葉と思いますが 私の様な年配には昔懐かしい言葉でしょう 
現在は高価になってしまったNISSAN フェアレディー Z スカイライン 
当時の中古車の価格は5~20万円ぐらいで売っていたもので 若者が最初に買って乗る安くてカッコいい車だったのですけどね 今は高額で取引されています 
車を速くするために ソレックスキャブレーを付けて タコ足(エキゾーストマニホールド)を付け 排気口が二つあるデュアルマフラーで爆音を轟かせて楽しんだものです 

ソレックス(SOLREX)キャブレター

今の車はキャブレターなどではなく インジェクション になっていますね 
キャブレターの魅力は何と言ってもあの吸気音 

シュゴーーーーーー!とエンジンルームに響く音 
旧車乗りには欠かせないアイテムではないでしょうか 

さてそもそもキャブレターの働きってなんだ?普通のキャブレターとソレックス ウェーバーとどう違うの?素朴に疑問ですよね キャブレターはガソリンを気化する装置です ガソリンと空気をミックスしてエンジンに送り込む装置と思ってください これが基本です 

では普通のキャブレターとソレックス ウェーバーとどう違うのでしょうか?どちらが使いやすいのでしょうか?メリット デメリットはどうなのでしょうか?

ソレックス ウェーバーのキャブレターは普通のキャブレターと違うのは 燃料の調整が細かく設定ができることです ガソリンと空気の最適な混合比は14.7:1と決まっています この混合比を低中高回転域 そしてアクセルの開度に合わせて設定できる様になっています その細かさの反面 調整が非常に難しく 気温や湿度 高度にまで影響されやすく街乗りではとても扱いにくいキャブレター故にレース用となっています 

平地でキャブレターのセッティングを出しても 高地にドライブに行くと 空気が薄くなり燃料調整が必要となってきたりします どこでも走れる様に調整すると 本来の性能が発揮できなくなります 

普通のキャブレターは細かな調整ができませんが 街乗りから高速 山道 気温や湿度に大きく左右されさらずに全ての道に対応できてしまいます これが純正キャブレターの凄いところではないでしょうか?純正で取り付けられているキャブレターはとても優秀です 

ソレックスもウェーバーもレース用としては変わりなく 大きな違いはありませんが あえて言うならば ウェーバーはアイドリングから中回転域までの燃料調整が難しいので ドラッグレースなどはウェーバー 周回するレースはソレックスと言ったところでしょうか?

タコ足(エキゾースト マニホールド)

英語でヘッダー(Header)とも呼ばれています なぜこの様な形になっているのかはエキゾーストパイプの長さを同じ長さにする事で 排気干渉をなくし高効率の排気を狙ったものです 同じ位置でパイプを集合させる為には曲げるしか方法がないからです 等長エキゾーストパイプと言います タコの足に似ていることからタコ足と呼ばれています 

スバルのエンジンは“ドコドコドコ”と音がしていました この音はエキゾーストマニホールドが等長ではないので 排気干渉の為に起きる音だったわけです 今のスバルのエンジンは等長エキゾーストマニホールドになっている為に昔ほど“ドコドコドコ”と言う音がなくなりました 

各部の名称

4気筒の場合エキゾーストには4 to 1タイプと4 to 2 to 1タイプなどがある 6気筒には6-1などもありますね 

4-2-1タイプよりも4-1タイプの方が高回転では良く回る 
その理由はエキゾーストパイプ内の負圧 
4-2-1タイプでは排気されたガスに引っ張られるのは隣にある一本のパイプだけ 
排ガスにより引っ張られた隣のパイプ内 燃焼室内の燃焼ガスが排気され次の吸気効率がよくなる 

4-1タイプの場合

オーバーラップ時に燃焼室の掃気が行われやすいので 吸気効率が大変高いエキゾーストシステムです 

4-2-1タイプの場合

4-2-1タイプは排気の逆流が起きやすい為にオーバーラップ時の掃気が行われにくい傾向にある 燃焼の順番が1→3→4→2の場合もあれば 1→2→4→3の場合もある 
イラストの排気順番は1→3→4→2

出力特性

4-2-1タイプは低速からトルクが出やすいので 省燃費を狙ったエコカーなどによく使われるトルク型 高回転での伸びが弱い 
4-1タイプは低回転ではトルクが薄くなり街乗りしにくい反面 高回転でトルクが出る 
パイプの直径の違いによりトルクのピークも変わる 

デュアルマフラー

マフラーの排気管が二本出ているマフラーの事 排気管が一本でその直径が10cmだとします その面積は半径×半径×3.14 ですから5cm×️5cm×️3.14=78.5㎠になり それよりも細く直径が8cmを二本出すと 100.48㎠した方が排気管は細い代わりに 排気面積が増えるので平気効率が良くなってパワーアップにつながるマフラーということです 

エンジンのバルブの数が2バルブよりもバルブ径が小さい4バルブの方が排気効率も良くなり 軽量にもなるので後者の方がエンジンパワーは出やすいわけです 

パワーを上げるとエンジンの熱が大きく発生する 

エンジンパワーを上げると エンジンの熱が大きくなります 水冷エンジンであればラジエターで冷やします ラジエターの容量も場合によってはラジエターの容量を増やさないと対応できなくなってしまい 水温が100度を超えてしまうこともあります 水温100度の場合 油温はおよそプラス20度なので120度ぐらいになっていきます 

油温が危険水域に入っていくことになりますから 水温を下げ燃焼室(ヘッド)の温度を下げる必要があります ラジエターの容量アップも必要になるでしょうし当然油温も下げる必要も出てくるでしょう 単にオイルクーラーを付ければ油温が下がるわけではありません オイルクーラーは走行風を受けることによって冷却が出来るからです 
走行風が当たりにくい場所へのオイルクーラー設置は意味がなくなっていきます 走行風が当たる場所を確認してからオイルクーラーを取り付けることが肝心です 

高速は油温が下がるけど 街乗りは油温が高い これは低速だと走行風が当たりにくくなるからで その場合は何らかの対策を取る必要があります 

油温を下げ エンジンを保護するにはRIZOILが有効 

油温を下げるにはRIZOIL(ライズオイル)が大変有効です ライズオイルは旧車に最適な鉱物オイルベースで作られています 余計な添加剤も配合されていませんから 耐久性も他メーカーオイルとは比較にならないほど高くなっています 何と言ってもエンジンの冷却性が非常に高いことが特徴です 

特に水温も油温も問題ない場合であっても 長く大切に乗るならば 冷却効率の高いものを使用することはエンジンにとっては大変有効なのです 

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